カキナクルー

観た試合の感想なんかをテキトー勝手に書き殴ります

「効率的な点の取り方」 2014 ACL 決勝トーナメント1回戦 セレッソ大阪vs広州恒大

セレッソvs広州生観戦。

 

セレッソはジンヒョンが復帰。システムは名古屋戦で久々の勝利を挙げハマりつつある3-4-2-1。変更点は右サイドに俺の酒本ではなく蛍が入り、ボランチにはゴイコ、2の左にはアーリアが入るなど、なかなか多い。

右に蛍が入ったのは広州のエウケソン対策の意味合いが強いだろう。酒本では正直勝てない、と。悔しいけれどポポのその判断には激しく同意。空いたボランチの位置にはパスも出せフィジカルも強いゴイコ。拓実ではなくアーリアが起用されたのは単純にコンディションの差。

 

広州はディアマンティ、ムリキ、エウケソンのクオリティの高い外国人を前に並べ、後ろをアジアの選手で並べるACL標準規格のチーム。山東もそうだった。ACLで結果を出すクラブは大体おんなじ戦い方をしている。

 

ただ、広州が山東と違った点は、その3人の外国人の良さを最大限かつ効率よく引き出す戦い方をしていたとこ。山東はヴァグネルラブの個人技任せだったけど、広州は3人の息が上手く合っていて、ディアマンティがボールをキープし、裏を狙うムリキやエウケソンを狙うシンプルな戦い方が徹底されていた。

ここがリッピの手腕なんだろう。いろんなことが出来てしまうがゆえにいたずらに選択肢を増やして中途半端な攻撃に陥ってしまうセレッソとは対照的だった。連携も確立されていて、年季の差も感じる。さすがは希代の名将が率いる前回のチャンピオンチーム。繰り出すサッカーに説得力がある。

 

セレッソの守り方も悪かった。名古屋戦と同様引きながら守ってしまい、空いたバイタルを上手く利用され、スピードでDFとDFの間を抜かれて。1点目なんてまさにその形。

個の力では勝てない。だから数で勝負。そのための3-4-2-1のはずだったのに、引いて守備ブロックを作るでなく、3と4で挟み込むでなく。ホームだしボールつないで攻撃的に行こう、その考え方がもろに裏目に出た。

 

その隙を抜け目なくつくディフェンディングチャンピオン。マルセロ・リッピ。

ディアマンティのパスとムリキの個人技にやられた1点目、エウケソンをつかまえきれず倒してしまった2点目のPK、ディアマンティの正確なフリーキックと、それをキッチリ決めるエウケソンの決定力を見せつけられた3点目。相手は自分たちが一番生きる戦い方を知っていた。

 

一方、セレッソは柿谷、フォルラン、アーリアのコンビネーションで1点返すのが精一杯。誰がどうやってパスを出し、誰がそれを決めるのかがハッキリしてない。広州と戦うことでそれがより際立った。

昨季21点取った男が右サイドでプレーしてていいのか。フォルランにDFをぶっちぎるスピード、トラップがあるのか。カウンターを仕掛けたいのにその先頭をアーリアが走っていていいのかなどなど疑問点を挙げればキリがない。

得点シーンは上手くはまったけどあれはコンスタントに狙えるほど難易度の低いものなのか、分からないポポでもないだろう。柿谷へのプレッシャーを抑えるためあえてゴールから遠い位置でプレーさせているとポポはいうけど、それでゴールが減ったなら本末転倒。柿谷にそんな優しさが必要だとも思わない。

 

そんなこんなで前半は1-3で折り返し。ポポは点を取りに行くため染谷、康太を下げ、俺の酒本、拓実を投入し、システム変更。山下、ゴイコのバックスに蛍、扇原のボランチ、右アーリアで左が拓実。リスクを背負って勝負に出た。

 

なじみの4-4-2になったことでボールを保持できるようになり、拓実の個人技がいいアクセントになって、チャンスは前半よりも格段に増した。ただ、後ろの枚数が減りラインも上がるからリスクも増える。それでも山下、ゴイコらのふんばりでなんとかしようとする算段。山下がダメなら諦めるしかない。

 

それでも染谷よりはよっぽどスピードも対応力もあるから案外なんとかなる。あとは前線が点を取るだけ。後半開始からボールをキープし、アタッキングサードで勝負を仕掛け、セレッソ押せ押せムードが漂うけど、それでも決定的なチャンスは生まれない。

 

世界レベルなのは前線だけ。後ろはアジア最終予選にも進めなかった中国人選手が中心のはずなのに、それでも全然崩せない。裏にはリッピ。組織だった守備。個で適わないなら数。セレッソがするべき守備を広州の方がキッチリ出来ていたのなら、もう桜のチームに勝ち目なんてない。

 

カウンターでおもしろいように左右に振られ、4点目5点目を奪われてジ・エンド。ハイリスクを負ったものの、いいように相手に対処されてゼロリターンで相手に美味しいところだけ持っていかれた最悪のパターン。

 

この敗戦を一言で総括するのならば、マルセロ・リッピとランコ・ポポヴィッチの手腕の差、それだけで片付けられるんだろう。確かに向こうの外国人たちのクオリティは高かったけど、こっちだってフォルランがいる。ベースは中国と日本。戦力に大きな差があったとは思わない。

 

それにしたってリッピの薫陶を受けれるとは広州の選手たちが羨ましい。アジア3次予選で敗退したとは思えないほど選手の質は低くなかった。何よりフィジカルが強い。セレッソの選手は度々やられてたし。中国マネーがスポーツの強化に効果的に使用されている良い例だろう。4年後がひそかにおそろしい。

 

フォルランの好例でふたたび日本にもビッグマネーの波が!?なんて展開を期待している自分だけど、ビッグネームはなにも選手だけじゃないよなぁとしみじみ感じた90分。名将の圧倒的な組織作りでぶっちぎりでJリーグを優勝する、そんなチームがそろそろあらわれてもいいと思うんだ。

 

絶望的な敗北感以外なにも残らなかった焼け野原の芝生の上に唯一戦利品を見つけるとするなら、ゴイコ・カチャルのボランチ適性だろう。出来るんじゃなかろうかとは思っていたけど、フィジカルが強くて中盤で戦えるし、精度のいいパスも出てくるし、攻撃参加もできるし。セレッソはいいバックを取れた。

 

過密日程というエクスキューズも一応は用意できるけど。丸橋なんかはまるでコンディションが整っていなかった。そんななかぼろ負けしても最後まで勝利を目指して走り続け、そして土曜日には仙台戦だ。そりゃ100%の力を出せないのは無理もない。

 

セカンドレグの戦い方は考え物。思い切ってミッチや楠神、永井を使うのもアリだろう。彼らだって普通に実力はあるから、上手くはまって大勝する可能性もなくはない。それよりも重要なのはJリーグの浦和戦。1-5ってそういうスコアだ。

 

ということで。 この敗戦でポポが効率的な点の取り方というのを改めて考えてくれることを切に願う。何度でも言うけれど、YouTubeにはその答えが山と転がってるから。「柿谷 ゴール」で検索するだけ。ただそれだけでセレッソの未来は明るい方に向かうはず。

「"攻める"ということ」 J1 第11節 名古屋vsセレッソ

名古屋vsセレッソ録画観戦。

セレッソは前節と変わらず堅守速攻型の3-4-2-1。メンバー変更はアーリアに代わって拓実が入っただけ。このシステムには縦に速い攻撃しかけられる拓実の方が合うだろうし、アーリアはポポの聖域化しかけてたし、2つに意味で安心できたメンツ。

 

名古屋は4-4-2。玉田、永井、矢野、小川、闘莉王などなどメンバーだけみればセレッソに負けず劣らず豪華なメンツ。矢野貴章が右サイドバックやらされてるのには驚いたけど。西野さんはここでもアグレッシブだ。

 

前半4分、セレッソがいきなり先制。

俺の酒本の楔のパスからフォルランがダイレクトでラインの裏に抜け出した柿谷にスルーパス。これをキレイにゴールに向いてトラップすれば闘莉王はもう追いつけない。あとは落ち着いて楢崎の横を抜いて我らが8番待望の今季Jリーグ初得点。

 

フォルランのスルーパスに抜け出した柿谷がトラップアンドシュートというゴールパターン。これだよ、これ。開幕から待ち望んでいた理想の形を5月に入ってようやく拝むことができた。この2人の特性を一番活かせられるゴールデンライン

なのにフォルランの下に柿谷という並びが続いたせいで、ここまで長引いてしまった。フォルランが柿谷の動きを理解できるようになったってのも大きい。「レンケイニハジカンガカカリマス」って度々言ってたものね。

そういう意味でもこのゴールは得点以上の価値がある。重かった扉がギギギと大きい音を立てて開き始めたような、その向こうからこれまでたまりにたまったゴールが溢れ出してくるような、そんな予感がした瞬間。もちろん俺の酒本の決定的な"起点のパス"も忘れちゃいけない。

 

前半はセレッソのパスサッカーが炸裂して終始主導権を握る展開。前節まではロングフィードからのカウンターを狙う場面が多かったけど、この日は基本ショートカウンター狙い。西野さんのチームもパスでつなごうとしてたけど連携はセレッソより拙く、高い位置からのプレスもハマったのも功を奏した。

とりわけ蛍の攻撃参加が光る。フォルランの下の攻撃的な2人がサイドに寄るからバイタル付近にスペースが出来て、そこをうまく活用出来てる。柿谷らとのパス交換を見ても足元うまいし、良いパスは出るしで、蛍という選手のポテンシャルの高さを再認識。3-4-2-1の一番の利点はここかもしれない。

 

つい最近見たある記事の中で山口は「扇原が上がり過ぎて自分が攻撃参加できない」というようなことを言っていたけど、その辺りの問題はうまく解消出来たようで。

その扇原は攻撃参加を抑える代わりに、後方から高い精度のロングパスでサイドにボールを散らしたり、一発裏を狙ったりで攻撃の幅を広げてくれてる。シュートも積極的に撃つようになった。どうした、扇原。これまで頼りなかったのが、急に頼もしくみえてくるから、若いって素晴らしい。

 

ただ、チャンスは多いのに追加点が奪えないところが、ポポが再三言ってる悪い意味での「このチームは若い」ということなんだろう。南野は決定的なチャンスでフリーのフォルランを無視し強引にシュートを放つし。その積極性は買いたいけれど、撃つならもっと説得力のあるシュートを撃たなければ。

 

後半からは気合を入れ直した名古屋がセレッソを押し込む展開。セレッソは守備時5バックだから人数は足りてるけど、引きながら守ってしまったからうまくない。後ろから攻め上がってくる名古屋の選手に対応しきれず、後手後手の対応が続く。

 

するとやられた57分、カウンターで2列目から抜け出した小川を山下がエリア内で倒してしまいPK。染谷や康太ならともかく、山下がやらかしたんならもう諦めるしかない。しかも2枚目のイエローで退場。髪型を変えさわやかになった自分をザックにアピールしたいとこだったけど、とんだ厄日に。

このPKを闘莉王が思いっきり蹴り込んで1-1。 

 

1人少なくなったセレッソウイングバックが下がり4-4-1の形で対応。パッと見、普段のセレッソとあまり変わらない気がするのは、このシステムの隠れた強みかも。フォルランなら一人で9番と10番の仕事をこなせるでしょう。

65分には拓実に代えてアーリアを投入。カウンターの強い武器を手放すのは惜しいけど、今の拓実の出来では止むなしか。ワールドカップイヤーの今年、当落線上の選手を少なからず抱えるセレッソへの影響は実は大きいだろう。

73分には扇原に代えてゴイコ投入。開幕戦以来のゴイコボランチ。実はゴイコはパスも出せる。終盤、守備を強化する時に見てみたかったオプションなだけに少し期待。

 

1人少ないながらも4バックにしたことでボールポゼッションを重視するセレッソと、数の利でぶ厚いカウンターを仕掛ける名古屋と一進一退の攻防が続くしびれる流れ。

好機をものにしたのはアウェイのセレッソだった。

76分、待ちに待ったフォルランゴラッソ、略してフォルラッソ。左サイドで丸橋が2人をぶち抜きエリア内へ。すると中央になぜかどフリーのフォルランが。ウルグアイから来たセレッソのNo.10がこんなおいしいチャンスを逃すはずなく、マルのパスを丁寧にゴール右隅に流し込んで2-1。

 

それにしたって名古屋がゆるい。SBにぶち抜かれた田口と矢野貴章。オフザボールの動きもなかったフォルランを見失う闘莉王。1点目もそう。酒本は寄せられてなかったから楽にフォルランにパスが出せた。そのフォルランもバイタルでどフリー。いや、西野さんのチームだからといえばそれまでだけど。

 

リードしたセレッソは話が早い。このままボールをつないで逃げきれば勝利。そこには絶対の自信がある。10人でも問題なし。名古屋は闘莉王のポジションを上げてゴールを狙う。とりわけ足が速いわけでない33歳のセンターバックがカウンターの先頭を切り爆走している姿はなにかこうグッと胸に来るものがある。

 

しかしその努力が結実することはなく、セレッソが7試合ぶりの勝利。試合後ポポは「今日良かったことは劣勢の中で同点にされて、レッドカードをもらい10人になっても選手たちが相手にとって危険な攻撃を繰り出せていたことです」と言っていた。

10人になると3バックを維持せず4バックに移行しパスサッカーを選択したポポ。その分、名古屋のカウンターを喰らいヒヤッとする場面も多かったけど、粘り強く耐え、パスで攻め込む姿勢を崩さなかったことが勝ち越しゴールを呼び込んだ。こういう場面での手腕が見れたことはセレッソにとって大きい。

 

相変わらずシングルゴールの柿谷にはちょっぴり不満。この人は固め打ちというのをしてくれない。1点目を奪ってからは欲も薄くなり、積極的にサポートに回るようになった。そうじゃないだろ、と。この辺の変に大人ぶりたがる若さは今季も解消されないようだ。

 

ということで。6日には広州戦があり、10日には仙台戦があり、13日にはまた広州戦があって、17日の浦和戦を最後に休養期間。スカパーによるとセレッソは30日間で10試合もこなすようだ。再開までの間も代表選手たちはブラジルで激戦を繰り広げるわけだから、一流選手も楽じゃない。

 

「史上最攻」というスローガンを掲げるセレッソ。この言葉のせいというかおかげというか最近「攻撃的ってなんだっけ」と考えるようになった。ロングカウンターを狙った山東から神戸戦までのセレッソは攻撃的ではないだろう。山東戦以前の4バック時代もボールは保持するけれど攻撃的とは思わなかった。

ポゼッション=攻撃的ではないのよね。ボールを回せはしてもアタッキングサードで勝負が出来ずろくな攻撃が出来ないチームはままある。4バックのセレッソがそうだった。でも、今日のセレッソは間違いなく攻撃的だった。3バックになりさらに遠ざかったと思った攻撃的なサッカーに実は近づきつつある。

 

そのサッカーで結果がついてきた。だからこの1勝の価値は大きい。柿谷にもゴールが生まれた。しかも一番理想的な形で。この勝利で収穫したものを新鮮なまま広州戦に持っていければ、チャンピオンチームだって食えるだろう。

「成長過程」 2014 J1 第10節 セレッソ大阪vs大宮アルディージャ生観戦

セレッソvs大宮生観戦。スタメンは神戸戦から新井場に代わり酒本が入っただけで他に変更はなし。ということはシステムは山東戦から続く3-4-2-1を継続。ホームでこの戦術を使うということはポポは本格的にポゼッションサッカーから堅守速攻型に移行しようとしているということ。

ただ、ホームだからそんなに守備的にいくわけにもいかないし、だからこその酒本。試合は下位相手の大宮にセレッソ優位で進む。3バックに移行してから出場機会を得た扇原を中心に、適度に精度の高いロングパスが供給されて、前線には柿谷とフォルランがいるからちゃんとした攻撃の形は作れる。

しかし決定機を生かせないまま試合はスコアレスで折り返し。基本前線に長いパスを狙いたいポポの新戦術だけど、裏へ抜け出して、また戻ってというライン際の駆け引きをそう何十回と続けられるわけもなく、後半からは疲れも目立ち、思惑通りの形が作れずグラウンドでパスを回し続けるジリ貧の展開。

そうこうしてるとまるでチャンスのなかった大宮にCKからゴールを奪われまさかのビハインド。アーリアに代えて拓海、康太に代えて健勇を入れるも流れは変わらず、そのまま試合は終了するかと思いきや、ロスタイムに蛍のロングパスに抜け出した健勇がダイレクトで押し込んでなんとか勝ち点1をゲット。

まぁフラストレーションがたまる不完全燃焼な試合。新システムを試行中だからある程度の苦戦はやむなしと客観的な自分もいるけど、金払ってる身としてはもうちょっと良い内容の試合を見せろという自分の存在の方が大きい。なんてったって今日は雨。ロスタイムのゴールがなけりゃブーイングだったろう。

新システムについて。 やりたいことはなんとなく分かる。裏抜けてトラップしてシュートさせりゃ世界レベルの柿谷君がいるし、あのフォルランもいるわけだから多少難しいボールでも放りこみゃなんとかしてくれんでしょう、と。実際になんとかなるとは思う。今日も惜しい場面はいくつかあった。

でもまず一つ言えるのが、そのサッカーするなら3-4-2-1の2の左にはアーリアじゃなくて絶対に拓海。ボールを前に速く運びながらゴールに向かおうとしてるのに、基本ボールを足に収めちゃう彼をいれてどうするというのか。ポストプレーフォルラン一人で十分。

拓海が反省のターン中という事情はよく分かる。浦項戦のレッドしかり、独りよがりなプレーしかり。でも、それでも堅守速攻というサッカーをするというなら拓海のスピードと個人技を使わないわけにはいかない。むしろ4-4-2のポゼッションサッカーより、こっちの方が絶対に輝く。

今のシステムの中でどうしてもアーリアを使いたいというなら扇原のところか酒本のウイングバックのポジション。でもアーリアからは扇原のような精度の高いロングパスは出てこないし、ウイングバックは上下動を繰り返し行う必要があるからアーリアには厳しかろう。このシステム下ではベンチが相当か。

その扇原も特別良いわけではないけれど。確かに柿谷が生きるようなロングパスが増えはしたけれど、まだまだ縦パスの本数は少ないし、守備の場面で軽率なミスも多い。百歩譲って後者は目をつむっても、長所の前者で補わなきゃいけないのに、相変わらず横パスとバックパスが多い。

そんなのアーリアでも出来るし、なんなら染谷にやらせたっていい。何より急遽システム変更によって降って湧いた出場機会を生かそうという気概がないのが悲しい。もう五輪世代ではないのだよ。勇気持って前を向いて縦パスを。そうしなけりゃまたすぐにベンチ生活に逆戻りだ。

後方からロングパス砲を連射したいのに、スナイパーが扇原しかいないというのも痛い。最終ラインでボールを回すことも多いけど、山下がかろうじて見てられる程度で康太と染谷は危なっかしい。ゴイコならロングパスも出せるのに今日はベンチ入りすらしてなかったのが痛かった。累積警告かなんかかな?

そして地味にジンヒョン欠場も痛い。プレミアのGKかと見紛うほどロングフィードの上手いGK。スローイングもかなりの飛距離。全盛期のファンデルサールばりにゴールマウスから前線にパスを通し続けるジンヒョンの一日も早い復帰を願うばかり。続報が出てこないから余計に心配というのもある。

あとはなんつっても8番さんのプレー位置。この人の一番得意なゴールパターンをまだポポは理解していないのか。YouTubeにいくらでも転がってるから何度でも確認してほしい。前線に張らせて、裏へ抜けさせても、ポストさせても、何でもいいから難しいボールを供給してトラップさせりゃ天下一品。

逆に言うと、それ以外ではただのサッカーが上手い人。良いように聞こえるかもしれないが、本質は器用貧乏だ。今日も前半は果敢にドリブル突破を試みていたけれど、結局これといったチャンスには結びつかなかった。

誰かが昔Numberで書いてたけど、柿谷の特性はゴールに一番近い位置でプレーさせてこそ最大限に発揮される。柿谷のゴール数が激減したのも必然。単純にプレー位置が下がったからゴール数が減っただけ。

今の柿谷は中盤でプレーさせられてた上手いけどパッとしない2年前の彼そのもの。ソアレスが見つけ出し、クルピが磨き上げた柿谷の才能の使い方をポポがうまく引き継げなかった。フォルランが加入したせいで、それが出来なくなったと言うなら、それはそれで本末転倒。

でも、絶対にこの2人は共存できる。プレー位置があべこべになっているだけ。アーリアにさせようとしているようにポストプレーは3-4-2-1の2のポジションでも出来るし、今フォルランにさせようとしているプレーも柿谷なら出来る。

逆に柿谷が今しているポジションで出来ないことをフォルランなら出来る。ラストパスの供給。8番と10番を一番生かすための関係は絶対これのはずなのに。4-4-2時代にはこの答えにもうすぐたどり着くとこだった。3バックになってリセットされてしまったのがすごくもどかしい。

ということで。いろんな意味で成長過程だなぁと思わされた今日の試合。これまで育ててきた4-4-2を捨てようっつんだからこれまた大変だ。ハマれば強いチームだということは誰にもわかる。手遅れになる前に答えにたどり着ければいいんだけど、それはもうポポの腕を信じるばかり。

願わくばYouTubeで柿谷のゴール集を見てくれますよう。

ちなみに今日の観客数は1万9千人強だった。なかなか入ってると思ったけど、あれで2万人いかないんだから、アベレージ4万人は夢のまた夢どころか、3万人ですらまだまだ遠い先の話に聞こえる。

そもそもバックスタンドとゴール裏に8〜9割入って、ホームスタンドのホーム側に7割入ってその数字だったら、たとえそこが満員でも2万5千、3万目指すなら開幕戦やダービーみたくアウェイにかなりのお客さん入ってもらわなきゃダメじゃないか。そのためのビジョンとか戦略ってあるのかな。

セレッソが掲げた目標数値はかなり無謀なものだったことを痛感した一日。でもまぁサポーターに来てもらうにはまず勝つことだわな。Jではまだホームで1勝ってんだからかなしい。8番さんのゴールが見れないというのも少なからず影響してるはず。来週こそはタイ戦以来の彼のゴールを拝みたいですなぁ。

香川の現状

いやーん、でもこれ1.5軍メンバーじゃないですか!

ということで、モイーズから絶対の信頼を得たというわけじゃなく、そう喜んでもいられないけど、CL第1節といいこの前のリーグカップといい、モイーズは香川にチャンスをしっかり与えている。干されているわけじゃない。

だから香川もちゃんとモイーズの期待に応えなくちゃいけない。この状態がずっと続き、ベストメンバーで臨む布陣では使われないのならば、それは単純に香川の実力が足りてないということ。控えめに言うと香川がモイーズのフットボールに合ってないということ。

そもそも、モイーズが「ルーニーはFW」と宣言した瞬間から、香川の良さが最も活かせる居場所だったトップ下のポジションはなくなった。これは香川が良い悪いとかいう問題ではなく、この世にペルシとルーニーからポジションを奪える選手なんて数える程しかいない。フェライニだってセンターハーフだ。

その時から香川のポジション争いは左サイドになった。ライバルはヤングにウェルベック、ヤヌザイがいる。強力な上、複数いてみんな左サイドでのプレーを得意としている。一方、香川はこのポジションをあまり得意としていない。

ザックジャパンでは左サイドで起用されてるから適性があると思われがちだけど、実際日本代表で香川の良さが引き出されてるとは思えないし、昨季も御大が何度か試したけど上手くいかず、結局はトップ下が一番いいと結論を出しているし。香川としては新監督になって評価が元に戻った、という印象だろう。

でも、香川としては生き残るためには、つべこべ言わずこのポジションで結果を残さなくちゃいけない。鍵はエブラの攻撃参加をどれだけうまく使い、左サイドから良さを出せるエリア近くに入っていけるか、だと思うけれど、今日の相棒はビュットナーだからぶっちゃけ心許ない。

まぁでも今日のメンバーを見ても分かるとおり、モイーズはちゃんと香川にチャンスを与えてくれるから。そもそも、香川抜きでシーズン戦えるほどの選手層を元々持っちゃいない。先週のペルシのように怪我人だってシーズン通して絶対に出てくるし。

そういう事情の中で、干されるなんてことはまずあり得ないし、あったとしたらそれは監督を納得させれない香川の方にある。で、今のところそんな心配はないし。それをやれベンチ外だのベンチだのスタメン外だの、1試合1試合の状況で騒ぎすぎ。

香川はしっかり今、激しいポジション争いの中で戦っている。その事実だけで十分。その事実だけ理解してたら、試合ごとに香川の出番があったかなんて細かいことを気にする必要はなくなる。香川の現状は今そんなカンジ。

それを踏まえた上で、香川に対し個人的なことを言わせてもらうと、やっぱりヤングやウェルベックと左サイドで戦うのは無理があると思うから、ビュットナーでもエブラでも何でも使って、左サイド起用でもガンガン中に入ってって欲しい。ルーニーは意外と空気読めるから、ルーニーを左に流すのも手。

そもそもペルシは怪我で抜けることが多い選手だし、ルーニーも昔のように鉄人だとは限らない。ルーペルが抜けた時、または休ませる時使ってもらえるようなトップ下、もしくはトップのポジションを狙ってくのが一番いいと思う。昨季はそれで御大の信頼を勝ち取った。それならばモイーズ相手でも。

ユナイテッドにおいてペルシ、ルーニーに次ぐ3番手4番手のトップ、もしくはトップ下。素晴らしいことじゃないですか。しっかりとその地位が確立できたなら。たとえベンチスタートの試合が多くても本望。プロの世界にはそういう選手は山ほどいるし、そこがユナイテッドならそれだけでも矜持を持てる。

それでも試合数が少ないと納得できないのなら、その時がユナイテッドと袂を分かつ日なんだろう。この世にはユナイテッドの他にも良いクラブはいっぱいあるし、その中に香川を評価してくれるクラブだってあるだろう。ただ、それだけの話だと思う。

「避けられたはずの油断」 プレミア13-14 ストークvsシティながら観

ストークvsシティながら観。シティはCLを睨んで大量に選手を入れ替え。ネグレド、ヨヴェティッチ、ナスリ、ミルナーロドウェルらがこぞって今季初スタメン。怪我のコンパニはまだまだ帰ってこず、急遽獲得したデミチェリスも早速怪我して、CBのコンビはナスタシッチと本職でないハビガルシア。

一方のストークは7年続いたピューリス政権が昨季終了。新監督のマーク・ヒューズはアダム、エヌゾンジらを中心にパスを繋ぐサッカーでこれまでのストーク像からの一新を図っているそう。まぁデラップももういませんし。少しさみしい気もするけれど、新ストークがどんな風になるかは素直に楽しみ。

シティはブリタニアスタジアムで4年連続引き分けているそうで。試合はそんなジンクスを裏付けるようにシティが苦戦。これまではジェコやネグレドの高さ、フィジカルを武器に、ナバスのクロスやポストプレーからのアグエロ、シルバで良い形を作ってたけど、ストークご自慢の固さでここを封じられる。

シルバがいたら別の形も模索出来たんだろうけど、いかんせんピッチ上には今季初出場の選手ばかり。攻撃はパス中心に変わったけど、守備の強さは変わらず、ガッチリ固めた守備ブロックの隙を見出せず、どこをどう攻めていいか分からない状況。

ナスリはまだまだ頼りにならない。頼みのヤヤも周りが馴染みの薄い人ばかりではどうにも出来ず、ロドウェルはまだ期待の若手の域を出ず、今季初出場のヨヴェティッチはそんな人たちに囲まれて所在なさげ。

一方のストークはシンプルにパスをつないで縦に攻めてていい感じ。シティに守備のミスもポロポロと出て、チャンスの数でいえばストークの方が圧倒的に多い。でも、最後の最後で決めきれずスコアは動かないまま前半終了。

後半に入っても流れは変わらず。深刻な状況はさすがのペジェでもハーフタイムだけで修正出来なかったよう。63分にヨヴェティッチはアグエロに代えられて、ほろ苦いデビュー戦。まぁチーム自体が死んでる今日のような試合では評価しにくい。71分にはナスリに代えてナバス。でもまだ流れはストーク。

シティが自滅してくれてチャンスもたくさん。ストークとしても早いとこ一発食らわせて試合を決めたいけど、ゴールだけが入らない。ウォルタース、ジョーンズとも能力は高いけど決定力は。。。 そのジョーンズは73分に負傷交代。81分にはフートが競り合いの衝撃で一時意識を失うというハプニング。

マーク・ヒューズはついてないのか、詰めが甘いのか。でもシティ相手に準備万端、モチベーションも充分に臨んで見事に強豪を苦しめた。最後まで勝とうとしていた気力も素晴らしい。 ということで試合はスコアレスドローで終了。主役はホームのストーク。ヒューズの挑戦はなかなか順調に進みそう。

一方のシティは早くも1敗1分。ストークの現状と過去のデータをキチンと分析出来てれば、ここまで戦力を落としていなかったはず。2節目以降苦しい試合が続いているペジェだけど、これまではコンパニという言い訳が出来た。でもこの日はいいところが一つもなかった。手腕が疑われる試合になったろう。

気を取り直して挑むCLのGL第1節、対プルゼニュ。CSKAモスクワバイエルンと手強い相手が控えているだけに絶対に落とせない一戦。この日のマイナスを取り戻すためにも、1週間後に控えたマンチェスター・ダービーに備えるためにも、鬱憤を晴らすような気持ちいい試合を期待したい。

メスト・エジルに65億

エジル5000万ユーロとかゲボが出そうなぐらい高いな。言い値やん。ここで交渉できへんかったら、なんで最終日まで待っててん、って話やけど、ガナーズはそこんところの駆け引きに慣れてへんのかもな。悲しい話や。

まぁベンゲルがノドから手が出るぐらい欲しそうな選手ではあるけど。もう1000万ユーロ追加して2000万ユーロx3でベンゲルの眼で見出した原石買うとか、昨季冬のニューカッスルみたいな補強策の方がおもろい&ベンゲルらしいと思うんやけど。もう何年もそういう選手は拝めてないなぁ。

 

その後

 

ホンマに5000万ユーロで飲みおったで。

ペレスはんは今頃笑いがとまらへんやろな。これだけでベイルの出費の半分もまかなえたことになるんやから。

ガナーズもホンマに金持ってたんやね。その使い道がまさかの一点集中型で、もっとDFやFW獲れやッ!って声が聞こえてきそうやけど、ちゃんと約束は守ったんやからあんま責めんであげといたってね。

それにしても、ガナーズにエジルは想像すればするほどおもしろそう。最近は直線的な選手の獲得が多かったけど、久々に東欧のファンタジスタというか、タッチがエロい選手が入ってきた。それこそ黄金時代の復活を予感させるような。

成績はどうでもいいから、またあの頃のようなバイタルで無駄に(褒め言葉)パスを繋げて繋げて繋げまくるサッカーが見れたなら。それにはもう一人サイドかボランチにロシツキやエジルと同系統の選手がおればいいんやけど。ギュンドアンとかおったら最高やねんけどなぁ。想像しただけで濡れてまうわ。

サイドの選手やったらベナルファやなぁ。パストーレも捨てがたい。まぁでもどれも妄想の範疇。5000万ユーロは使いすぎた。既存のスターは高すぎて買われへんからこそ、原石を安く買ってベンゲル自身に磨いていってほしいねんけど、最近はホントそれはなくてさみしい限り。

結果を出すために必死なんやろね。あの頃に比べてプレミアの競争は激しくなりすぎた。その中で決断した一世一代の大勝負、メスト・エジルに65億。あかん、何度見てもめまいする金額やわ。

それこそ65億もあったらルーニー獲られへんかったか?ユナイテッド今金ないで。も少し色つけたらスアレスもいけそな気すんねんけど。なんかもう金銭感覚がいろいろと麻痺してきた。今年の相場はホンマに異常。だって去年ペルシでだいたい30億やで。やっぱ御大は偉大や、って結局こうなる。

 

 

ベイルの選んだ人生

 >それでも彼の足は地に付き、ルーツを忘れはしない

素敵だね。

ベイルはまんま「紳士なクリロナ」だからな。そういう意味ではクリロナ以上に厄介な存在。

ただ、マドリではスターは過酷に擦って擦って擦り減らされ続け、美味しいとこなくなったらあっけなくポイと捨てられるからな。エジルやカカのように。でも、そうしてスターを循環させながら競争力を保っていくのがマドリの本質。

ベイルはその消費されるべきスターのひと駒としてマドリに入った、ってことは十分に覚悟しなくちゃいけない。それがマドリの選手になるということ。