カキナクルー

観た試合の感想なんかをテキトー勝手に書き殴ります

カテナチオは滅びない 【ユーロ16 グループE第1戦 イタリア対ベルギー】

さてさて。

 

死のグループE、イタリアとベルギーの本命対決。
イタリアはW杯では2大会連続でグループステージ敗退という憂き目にあってるけど、実はユーロ12では準優勝。バロテッリのあのわけのわからないポーズも今となっては懐かしい。
それから4年後、バロテッリカッサーノもいなくなった。メンツを見渡してもユーベ以外のビッグクラブでプレーしている選手はおらず、とりわけ前線のタレント不足は深刻そう。
メンバーだけを見ればよっぽどベルギーの方が強豪国らしい。
アザールにデブライネ、ルカクにオリジ、フェルトンゲンクルトワと、パッと見、見てみたいのはこっちの国。期待されたブラジルW杯ではアルゼンチンに惜しくも敗れてベスト8だったけど、あれから2年、みんな各クラブで成長を遂げてきた。FIFAランクは2位。今回の目標はもちろん優勝。今や俺たちの方が格上なんすよ、とイタリアに引導を渡すような試合になりそうな予感さえするメンバー表。

 

でも、その通りにならないからサッカーは楽しい。
イタリアは3-1-4-2みたいなフォーメーション。
おなじみユーベの3バックに、デ・ロッシがアンカー、そのに前左からダルミアン、ジャッケリーニ、パローロ、カンドレーヴァと並んで前線はエデルとペッレの2トップ。
中盤の2人と2トップ1人がサイドに寄って数的優位を作る。そうしてベルギーを寄せといて逆サイド、もしくは裏を狙う。スペースにパスを出し、そこへキッチリ選手が走りこむ。一朝一夕では完成しない難易度の高いサッカー。さすがはコンテ。おもしろいチームを作り上げてきた。

 

一方のベルギーは超オーソドックス。
ダブルボランチの4-5-1で、選手を1番得意なポジションに配置。そしてピッチに送り出して「ハイ、戦ってくださいね」みたいなサッカー。チームとして連動する動きがあるわけでなく、パスはほとんど足元狙い。崩しは個人技頼みで、ボール回しも単調。自分たちせ動いていくわけじゃなく、スローペース狙いのイタリアに付き合って、凪のような時間が流れる前半。いやいや、ヴィルモッツさん、こういうサッカーがみたいわけじゃないんですけど。

で、主体性を持たぬままずるずる時間を進めた31分、ボヌッチが裏へ抜け出したジャッケリーニにロングパス。これをキレイにトラップしてゴール右隅に流し込み、イタリアがあっさり先制。コンテのシナリオ通りの流れになった。

 

先制されても、どう点取りにいきたいのか分かってないベルギー
後半開始直後にはカウンターでチャンスを生み出すものの、ルカクブッフォンのプレッシャーを前にループシュートを浮かしてしまい同点ならず。メルテンスを投入してからは、スピード感のあるドリブルで左サイドを崩しだし、得点の臭いがし始めた。イタリアも前半のような勢いはない。ベルギーの意地の猛攻が続いた。
それでも点は入らない。
ルカクが、代わって入ったオリジが、フェライニがエリア内で競り合うものの、ことごとくユーベ3人衆に押さえられ、なんとかシュートを放っても、その先にはジャンルイジ・ブッフォン。デブライネやアザールがエリアの外からゴールを狙うも、厚い壁に跳ね返される。忘れちゃいけない。イタリアはカテナチオの国。ブラジルでは微塵もその片鱗を見せてはくれなかったけど、わずか2年でコンテが「カテナチオは滅びぬ。何度でも蘇るさ」と言わんばかりに復活させてくれた。

 

ということで。
その後もイタリアは集中力を切らさず、試合終了間際にはカウンターからペッレが追加点を決めて勝負あり。勝ち点3をものにした。
正直、運が味方した部分もあると思う。それほど最後のベルギーの攻撃は激しかった。それでも結果は失点ゼロ。諸々含めてカテナチオということなんだろう。
ベルギーは後半に選手交代で改善がみられたことから、問題は人選のような気がする。
深い戦術は用いてなさそうだから、出来の良し悪しを左右するのは個人の技とコンディション。
正直言ってルカクはなにも出来てなかった。動きも少ないし、シュート感覚にも乏しい。じゃあオリジが良かったか、というとそうでもないんだけど、機動力がある分、こっちの方が可能性はありそう。ベンテケも含めて1トップの人選には再考の余地あり。
左サイドもアザールより、メルテンスの方が縦への突破の意識がハッキリしてよかった。アザールはトップ下に入ってからアイデアを生かせるようになって、らしさが出た。
そんな具合に、「正解」が見つかれば最初から良いサッカーが見られる予感。欲を言えば、コンテのようなチームに戦術を与えられる名将の下で創り上げられたチームが見たかったけど、大会が始まってからいってもしょうがない。
ロシアではそうなるよう祈りつつ。