カキナクルー

観た試合の感想なんかをテキトー勝手に書き殴ります

結局いつものイングランド 【ユーロ16 グループB第1戦 イングランド対ロシア】

さてさて。

 

ユーロ2日目は真打ちイングランドが登場。
イングランドといえば今年プレミアリーグはかつてない興奮に包まれた。
ユナイテッドやチェルシーといった歴代チャンピオンが軒並み調子を崩し、優勝争いを繰り広げたのはスパーズとレスターという前代未聞のシーズンに。しかも両チームを支えたのはケインやアリ、ヴァーディといった国産選手たち。国際大会にはいい思い出がないイングランドだけど、彼らが原動力となり、歴史を変えてくれるかも、と大会前から否応なしに期待は膨らんだ。

 

スタメンにはそのケイン、アリ、ダイアーらスパーズの名前がずらり。
近年はバイエルンを基盤にしたドイツやバルサを基盤にしたスペインがW杯やユーロで無双してるし、彼らと同様、結果を残しているクラブのコンビネーションを流用している点も期待できるポイントだ。
もうひとつ、注目なのはやっぱりルーニー
代表デビューは13年前。初めて経験した国際大会はユーロ04。大会中に骨折したり、怪我でグループリーグに出場できなかったり、相手ふんづけて退場したり、予選で相手蹴って本戦2試合欠場くらったりと、大きい大会があるたびになにかとやらかしてきた男ももう30歳。昔は「俺はFWだ」とファギー御大に噛み付いたこともあったのに、今や「スコールズみたいになりたい」と自ら中盤を志願するほど丸くなった。
ポジションは4-1-4-1の中盤の4の真ん中でアリとコンビを組む。三十路を超え新境地に挑む元悪童が今大会ではどんな爪痕を残すのか。

 

立ち上がりのイングランドは調子良さげ。
ルーニーは中盤でボールを手際よくさばき、ローズとウォーカーのスパーズのSBコンビはタイミングよく攻撃参加、ケインとアリはスペースに顔を出す。そこへ気持ちよくボールは通るし、スパーズをベースにしたチーム作りはうまくいってそうな雰囲気。
でも、いつまで経っても点は入らず、最初はよく見えたチームもだんだんボロが目立ち始める。
右MFのララーナは小気味よく動いてシュートを放つけど、全然枠に飛ばないし、左MFのスターリングはドリブル挑んでボール取られるだけ。ケインはベレズツキイグナシェビッチのロシアCBコンビに完璧に封じられてる。アリととルーニーにはいい感じのシュートがあったけど、アキンフェエフの好セーブにあってゴールならず。
でも、よくない選手がいるなら選手を変えればいいだけ。
ベンチにはヴァーディ、スタリッジ、ラシュフォードといい選手が揃ってる。のに、ホジソンに動く気配が全くない。ん?おかしいぞ、もしかして今回のイングランドいつものイングランドのままなのか、という疑念が大きくなりだした73分、ダイアーがフリーキックを直接決めてイングランドがようやく先制。
ダイアーがこんなにいいキッカーだとは知らなかった。あの7番を彷彿させる見事な右足。流れからゴールを奪えなければ、セットプレーで奪えばいいじゃない、と彼が代表引退して以降、失われていたイングランドの武器がここに復活。

 

そのまま時間は過ぎていき、試合は終了目前。開始前の期待は大きく裏切られたものの、勝ち点3はゲットして、まあ初戦はこんなもんか、と幕が閉まりかかったロスタイム、ロシアがCKからベレズツキがヘディングをファーに流し込んで、なんとロシアが追いついた。
ベレズツキはケインも封じ込めてたし、この試合の影のMVP。2年後にW杯開催を控えるロシアでは33歳になるベレズツキと36歳になるイグナシェビッチの高齢コンビを危惧する声があるそうだけど、この2人を超える選手は期待したってそう出てくるもんじゃない。特にベレズツキにはロシアンマフィアを思わせる独特な威圧感もあって、まだまだ若造のケインには少し厳しい相手だったかもしれない。

 

ということで。
結局試合はドローで終了。イングランドはこれまでユーロの初戦で勝ったことがないらしく、今回もそのジンクスが働いたようにも見えるけど、冷静に試合を振り返れば単にイングランドの実力が及ばなかっただけ。
そもそもなんでホジソンはポゼッションフットボールで戦ってたんだろう。固く守ってカウンターというイメージが強い監督だけど、豊かな選手層を見て、欲が出てしまったか。スパーズ所属の選手が多いし、冒頭に書いたみたいにスペインやドイツを見習ってクラブのコンビネーションを活用するのはいいけど、スパーズはバイエルンバルサとはちょっと違うってことは忘れないでほしいとこ。スパーズよりも、プレミアリーグ制覇の立役者ヴァーディの力を借りて、得意のカウンター主体のチーム作りをした方がいいと思うんだけど、果たして英国対決ウェールズ戦ではどんな戦い方をしてくるか。

素材は抜群。それを料理する監督の手腕に不安。同じような問題に苦しめられてる某関西のピンクのチームのサポーターとしては共感を覚えた90分。イングランドにはそろそろ報われれほしいんだけどなぁ。