カキナクルー

観た試合の感想なんかをテキトー勝手に書き殴ります

「地に足を」 2014-15プレミアリーグ レスター対ユナイテッド

ユナイテッドがレスター相手にまさかの3-5。
すんごいユナイテッドだった。はじめてみるユナイテッドだった
この結果は驚きを伴って受け入れられているけど、でも自分は全然意外だとは思っていない。こういうバカげたチームになる背景はあったと思うし、現状には普通に納得している。

自分は今、ユナイテッドが狂っていると思っている。
一番オカシかったのは移籍市場終了前の常軌を逸した補強ラッシュだ。御大時代からは考えられない移籍金で、次から次へとファンハールの要求通り買われていく選手達。御大の頃なら、ショウとエレーラをとった時点でお財布は空っぽになってたはずだ。ただ、そこらへんの金銭感覚は昨季の冬マタをとったぐらいからイカれていたとはおもう。
忘れちゃいけないのはユナイテッドは借金まみれのグレイザーがさらに借金を重ねて買収したクラブだということ。そのお金はどこから出てるのか。ファルカオの年俸も含めて、いろいろおかしい。自分は破産もありえると思ってる。
身の丈に合わない補強の数々。そんなに買えるなら御大の時にも買ってやれよ。それなのになぜファンハールにはポンポンと買い与えることが出来るのか。自分の知ってるユナイテッドと目の前のユナイテッドがどうも一致しない。

もひとつ一致しないのはファンハール像だ。
今季、ユナイテッドに期待の目が集められていたのは新監督がファンハールだったからだ。
記憶に新しいW杯での躍進。スペイン相手に5-1の完勝。他の強豪国と比べると明らかに劣る戦力をうまく駆使し、オランダを地球3位に導いた。
当然、ユナイテッドでもそういう姿が見られると思っていた。ご存知の通り、ユナイテッドは石油王がオーナーを務める青や水色のクラブのように裕福ではない。慎ましい戦力をやりくりしてチーム作りをしてくれるはず。
しかし、蓋を開けてみれば、やれディマリアを買え、やれファルカオを買え、やれブリントを買え。
その一方でウェルベックはいらない、ラファエルもいらない、フェライニもいらない、シンジもいらないと、既存の選手をどう生かすかではなく、俺の欲しい選手をかき集めろ、じゃなきゃ結果なんて出せはしないぞ、と言い出した。

んん!?どうなってんだ?
オランダを率いていた時の姿は影も形もありゃしない。チーム作りもシステムは同じ3-5-2だけど、固い守備を基調とするわけでなく、流れるようなパスサッカーを志向しだした。え?あぁ、まぁうん、そうか。それならそれでもいいんだろうけど、でもちゃんと勝ってよね?
でも、結果はいつまで経ってもついてこない。これまでずっと4バックの文化で生きてきたユナイテッドに3バックを植え付けるのは難しいようで。
開幕3試合で結果は出なかった。やはり守備の補強は急務。システムも4バックに戻した方がいい。そして急遽購入したロホとブリント。
彼らのデビュー戦となったQPR戦。
試合は4-0の快勝だったけど、ロホは左SBをやっていて、ブリントはアンカーをやっている。その前にディマリア、エレーラ。そしてマタ、ルーニー、ペルシのトライアングル。かなり攻撃的な布陣だ。んん?なんかおかしくないか?
QPR相手には胸がすくような試合を見せてくれたけど、ところかわって今日の試合…
CBは補強なし。そのうち1人はトップ経験ほぼ皆無の若手。アンカーには新人1人。右SBには戦力外を通告していたラファエル、などなど。順序立てて振り返れば、今日の5失点は意外でもない、とはそういうこと。

ここで今一度、再確認しておきたいのが、ユナイテッドの監督は2ヶ月前ブラジルW杯で限られた戦力で堅守を構築しオランダを3位に導いた名将ファンハールだということ。でも、正直そのファンハールマンチェスターで拝めたためしは一度もない。じゃあ目に前にいるのは誰なのか。いくら考えても分からないミステリー。
ぶっちゃけファンハールが監督になるとき、以前バイエルンで彼の指揮の下、プレーしていた選手たちから、少なくない辛辣な批判が聞こえてきてはいた。
でも、それも数年前の話。ブラジルの彼を見ただろ?変わったのさ、と右から左へ聞き流していたけど、今は彼らの言葉が深く突き刺さる、

徐々に広がっていったファンハールへの黒い疑念。一気に拡散し真っ黒になったのは、ユナイテッドを去ったウェルベックに向けた言葉だった。

それをどうにかすんのがあんたの仕事だろ。ウェルベックがユナイテッドに与えてくれていたのはゴールだけじゃない。それをファルカオ来たからいいや、と放り出すだと?そんな監督が名将なはずはない、と針が振り切れるようにファンハールとの未来に期待が持てなくなった。さっさと負けて早く去れ、とさえ思っている。今日の結果は自業自得、そういう態度が招いた結果だ、と心底思う。

今日の3ゴールだってファンハールがもたらしたもんじゃない。金でとってきたファルカオとディマリアが自らの個人技で生み出したものだ。一方、ファンハールの最大の腕の見せ所である守備組織の構築はあんなもんだ。これまで一体何をしてきたんだろう。何点か取られてもファルカオたちにそれ以上取らせれば大丈夫、とでも思ったか。

とまあ、かなり厳しく書いてきたけど、なにが言いたいかって「地に足をつけろ」ということ。
あの守備の戦力であれだけ前に出る戦い方はありえない。ブリント1人でバイタルがまかなえるわけがないだろう。
なぜそんなことも分からなくなったのか、ということまで考えると、それは多分3-5-2が破綻したからだ。

ファンハールにとって3-5-2の一番の特長は前線のトライアングルなんだろう。確かにルーニーはトップ下で使いたい。手元にペルシやファルカオがいるなら、その前に並べたい。ただ、そうなると前に人数が多くなる。そこで守備のバランスを保つための3-5-2だったはずだ。
しかし、3バックは馴染まない。じゃあ4バックに戻そう。戦力外通告したけど仕方なくラファエル使うか。
でも前のトライアングルは絶対いじりたくない。じゃあディマリアは左か。そうするとエレーラは右。ベンチに置いておく人材じゃないし。となるとアンカーには1人だけ。頼むぞ、ブリント。その結果が3-5。

要するにチームを構築する順番がおかしいわけだ。W杯でオランダを3位に導いた原動力はなんだったか、という話。とにもかくにもまずは守備。ワールドクラスはいないんだから数で勝負するしかない。4バックならダブルボランチ。3バックならWBには守備の選手を。その上で余った前のところにぜいたくな攻撃陣を並べて行くしかない。もったいないけど、3-5で負けるよりかはだいぶマシだ。
そういう基本中の基本を思い出す、というより思い知るには今日の惨敗はいいきっかけになったと思う。
この敗戦を糧に次の試合でどんなチーム作りをするか。10月後半からはチェルシー、シティ、クリパレを挟んでガナーズと、しんどい試合が続く。ここの結果如何では再びギグス暫定監督なんてこともありえるだろう。]
ブラジルでのスペイン戦では相手を研究し尽くし世界を驚かせる完勝をなし遂げた。ファンハールの一番の強みはそこだと思う。ピンチはチャンス。まだ一度も重なり合わないユナイテッドのファンハールとオランダ代表監督のファンハールを、この1ヶ月でなんとか一致させて欲しい。