カキナクルー

観た試合の感想なんかをテキトー勝手に書き殴ります

「地に足を」 2014-15プレミアリーグ レスター対ユナイテッド

ユナイテッドがレスター相手にまさかの3-5。
すんごいユナイテッドだった。はじめてみるユナイテッドだった
この結果は驚きを伴って受け入れられているけど、でも自分は全然意外だとは思っていない。こういうバカげたチームになる背景はあったと思うし、現状には普通に納得している。

自分は今、ユナイテッドが狂っていると思っている。
一番オカシかったのは移籍市場終了前の常軌を逸した補強ラッシュだ。御大時代からは考えられない移籍金で、次から次へとファンハールの要求通り買われていく選手達。御大の頃なら、ショウとエレーラをとった時点でお財布は空っぽになってたはずだ。ただ、そこらへんの金銭感覚は昨季の冬マタをとったぐらいからイカれていたとはおもう。
忘れちゃいけないのはユナイテッドは借金まみれのグレイザーがさらに借金を重ねて買収したクラブだということ。そのお金はどこから出てるのか。ファルカオの年俸も含めて、いろいろおかしい。自分は破産もありえると思ってる。
身の丈に合わない補強の数々。そんなに買えるなら御大の時にも買ってやれよ。それなのになぜファンハールにはポンポンと買い与えることが出来るのか。自分の知ってるユナイテッドと目の前のユナイテッドがどうも一致しない。

もひとつ一致しないのはファンハール像だ。
今季、ユナイテッドに期待の目が集められていたのは新監督がファンハールだったからだ。
記憶に新しいW杯での躍進。スペイン相手に5-1の完勝。他の強豪国と比べると明らかに劣る戦力をうまく駆使し、オランダを地球3位に導いた。
当然、ユナイテッドでもそういう姿が見られると思っていた。ご存知の通り、ユナイテッドは石油王がオーナーを務める青や水色のクラブのように裕福ではない。慎ましい戦力をやりくりしてチーム作りをしてくれるはず。
しかし、蓋を開けてみれば、やれディマリアを買え、やれファルカオを買え、やれブリントを買え。
その一方でウェルベックはいらない、ラファエルもいらない、フェライニもいらない、シンジもいらないと、既存の選手をどう生かすかではなく、俺の欲しい選手をかき集めろ、じゃなきゃ結果なんて出せはしないぞ、と言い出した。

んん!?どうなってんだ?
オランダを率いていた時の姿は影も形もありゃしない。チーム作りもシステムは同じ3-5-2だけど、固い守備を基調とするわけでなく、流れるようなパスサッカーを志向しだした。え?あぁ、まぁうん、そうか。それならそれでもいいんだろうけど、でもちゃんと勝ってよね?
でも、結果はいつまで経ってもついてこない。これまでずっと4バックの文化で生きてきたユナイテッドに3バックを植え付けるのは難しいようで。
開幕3試合で結果は出なかった。やはり守備の補強は急務。システムも4バックに戻した方がいい。そして急遽購入したロホとブリント。
彼らのデビュー戦となったQPR戦。
試合は4-0の快勝だったけど、ロホは左SBをやっていて、ブリントはアンカーをやっている。その前にディマリア、エレーラ。そしてマタ、ルーニー、ペルシのトライアングル。かなり攻撃的な布陣だ。んん?なんかおかしくないか?
QPR相手には胸がすくような試合を見せてくれたけど、ところかわって今日の試合…
CBは補強なし。そのうち1人はトップ経験ほぼ皆無の若手。アンカーには新人1人。右SBには戦力外を通告していたラファエル、などなど。順序立てて振り返れば、今日の5失点は意外でもない、とはそういうこと。

ここで今一度、再確認しておきたいのが、ユナイテッドの監督は2ヶ月前ブラジルW杯で限られた戦力で堅守を構築しオランダを3位に導いた名将ファンハールだということ。でも、正直そのファンハールマンチェスターで拝めたためしは一度もない。じゃあ目に前にいるのは誰なのか。いくら考えても分からないミステリー。
ぶっちゃけファンハールが監督になるとき、以前バイエルンで彼の指揮の下、プレーしていた選手たちから、少なくない辛辣な批判が聞こえてきてはいた。
でも、それも数年前の話。ブラジルの彼を見ただろ?変わったのさ、と右から左へ聞き流していたけど、今は彼らの言葉が深く突き刺さる、

徐々に広がっていったファンハールへの黒い疑念。一気に拡散し真っ黒になったのは、ユナイテッドを去ったウェルベックに向けた言葉だった。

それをどうにかすんのがあんたの仕事だろ。ウェルベックがユナイテッドに与えてくれていたのはゴールだけじゃない。それをファルカオ来たからいいや、と放り出すだと?そんな監督が名将なはずはない、と針が振り切れるようにファンハールとの未来に期待が持てなくなった。さっさと負けて早く去れ、とさえ思っている。今日の結果は自業自得、そういう態度が招いた結果だ、と心底思う。

今日の3ゴールだってファンハールがもたらしたもんじゃない。金でとってきたファルカオとディマリアが自らの個人技で生み出したものだ。一方、ファンハールの最大の腕の見せ所である守備組織の構築はあんなもんだ。これまで一体何をしてきたんだろう。何点か取られてもファルカオたちにそれ以上取らせれば大丈夫、とでも思ったか。

とまあ、かなり厳しく書いてきたけど、なにが言いたいかって「地に足をつけろ」ということ。
あの守備の戦力であれだけ前に出る戦い方はありえない。ブリント1人でバイタルがまかなえるわけがないだろう。
なぜそんなことも分からなくなったのか、ということまで考えると、それは多分3-5-2が破綻したからだ。

ファンハールにとって3-5-2の一番の特長は前線のトライアングルなんだろう。確かにルーニーはトップ下で使いたい。手元にペルシやファルカオがいるなら、その前に並べたい。ただ、そうなると前に人数が多くなる。そこで守備のバランスを保つための3-5-2だったはずだ。
しかし、3バックは馴染まない。じゃあ4バックに戻そう。戦力外通告したけど仕方なくラファエル使うか。
でも前のトライアングルは絶対いじりたくない。じゃあディマリアは左か。そうするとエレーラは右。ベンチに置いておく人材じゃないし。となるとアンカーには1人だけ。頼むぞ、ブリント。その結果が3-5。

要するにチームを構築する順番がおかしいわけだ。W杯でオランダを3位に導いた原動力はなんだったか、という話。とにもかくにもまずは守備。ワールドクラスはいないんだから数で勝負するしかない。4バックならダブルボランチ。3バックならWBには守備の選手を。その上で余った前のところにぜいたくな攻撃陣を並べて行くしかない。もったいないけど、3-5で負けるよりかはだいぶマシだ。
そういう基本中の基本を思い出す、というより思い知るには今日の惨敗はいいきっかけになったと思う。
この敗戦を糧に次の試合でどんなチーム作りをするか。10月後半からはチェルシー、シティ、クリパレを挟んでガナーズと、しんどい試合が続く。ここの結果如何では再びギグス暫定監督なんてこともありえるだろう。]
ブラジルでのスペイン戦では相手を研究し尽くし世界を驚かせる完勝をなし遂げた。ファンハールの一番の強みはそこだと思う。ピンチはチャンス。まだ一度も重なり合わないユナイテッドのファンハールとオランダ代表監督のファンハールを、この1ヶ月でなんとか一致させて欲しい。

「素材を生かすセレッソ流」 2014 J1 セレッソ対レイソル

「プレミアリーグはぬるくない」 14-15プレミアリーグ第1週 ユナイテッドvsスウォンジー

さてさて、ようよう始まりました14-15プレミアリーグ

昨季は御大が去り、モイーズの下で失意のシーズンを送ったユナイテッド。あの地獄のような日々に終止符を打つことが出来るのか。
大役を任されたのは希代の名将ファンハール。ワールドカップ3位という輝かしい実績を引っさげてマンチェスターにやってきた。
その話題性と強烈なカリスマ。昨季ヨーロッパカップ戦の出場権も得られなかったユナイテッドだけど、彼のおかげで良くも悪くもプレミアの台風の目となってしまった。
2ヶ月前のW杯を席巻したあの3バックはプレミアでも果たして通用するのか。ユナイテッドサポのみならず、世界中のフットボールファンが注目するところ。

ということでユナイテッドの布陣は3-4-1-2。
GKはデヘア。3バックはスモーリング、ジョーンズ、ブラケット。中盤は右からリンガード、フレッチ、エレーラ、ヤング。トップ下にマタで、2トップはエルナンデスルーニー
ペルシは調整が遅れてるのかベンチにも名前はない。その代わりにフェライニやナニ等戦力外通告されたと報道があった選手の名前がチラホラ。9月にはどれぐらいの選手が残ってるだろう。
ベンチには当然香川も名前も。ペルシ以外にもキャリック等怪我人はいるけど、エレーラがボランチの位置でプレーするならチーム内順位は実はそんなに低くないはずだ。
移籍市場が閉まるまでにどんな選手を補強するかにもよるんだけど、一つ確かなのは開幕時のラインナップと9月最初の試合のラインナップでは大分違いがありそう、ということ。ファンハールがブラケットやリンガードに全幅の信頼を寄せているとも思えないですし。

対するスウォンジーは4-5-1。
GKはファビアンスキ。DFは右からランヘル、アマト、ウィリアム、テイラー。ダブルボランチにシェルビーとキ。中盤は右からダイアー、シグルドソン、ルートリッジで1トップにボニー。

試合はユナイテッドがボールを支配する展開。
この時点で既にW杯のオランダとは異なるチームだと分かる。ファンハールはブラジルでは3バックという名の5バックで自陣を固め、ロッベンやペルシの個人技で高速カウンターを仕掛ける戦い方をしていた。
でも、それはあくまで短期決戦のトーナメントだからこそ出来る戦い方、というか許される戦い方。
今、ファンハールが指揮しているのはマンチェスター・ユナイテッド
数十年イングランドの最前線を走ってきた常勝軍団。昨季は思わぬズッコケ方をしてしまい苦杯を飲んだが、それでもまだ御大時代に築かれたプライドは高くそこにある。
そんなクラブのサポーターが、強豪クラブならまだしもスウォンジー相手にオールドトラッフォードで腰の引けた戦い方をするなんて、決して許しはしないだろう。そういう戦い方が長きに渡るリーグ戦で短期決戦の時と同じような効果が得られるかも疑問。
それはファンハールだって分かっている。だからプレシーズンでもボールを支配する戦い方を意識しながらチームを作り上げてきたし、なかなかの手応えもつかんだ。
要するに、W杯のオランダと今のユナイテッドでは、ファンハールは全く違った形のアプローチでチームを作っているということ。

それを踏まえてユナイテッドを見てみると、最終ラインの位置取りは高く、左右のセンターバックが4バックのサイドバックと同じぐらいまでワイドに広がる。そのため中盤のサイドハーフの位置もかなり高く、一言で言えば攻撃的、見方を変えればかなりリスキーな戦い方だ。
その間でフレッチ、エレーラ、マタらとボール交換しながら、バイタルの隙を見つけつつそこを攻めたり、数的有利でサイドを攻略したりする。

試合はユナイテッドペースで進んでいたものの、リンガードが24分に怪我で途中交代。
プレシーズンに結果を残しせっかくつかんだチャンスなだけに、なんたる不運。それまでも懸命に走り回って働いていただけに、もうちょっと見ていたかった。

代わりに入ったのはヤヌザイ。しかし、新11番デビューの4分後にユナイテッドは痛い先制点を許してしまう。
スウォンジーの右サイドからの崩し、ユナイテッドの選手はわらわらとそのサイドに寄ってしまいバイタルはガラガラ。そこにするすると侵入するキ。人数を固めていたはずのユナイテッドだけど、なぜか簡単に突破を許してしまい、マイナスのパスをキがどフリーでシュートを放って1-0。なんだこりゃ。かなりお粗末な失点シーン。今のユナイテッドはまだまだ構築段階なんだなと痛感させられる。戦術というよりは、それ以前の意識レベルの問題。特に中盤の選手たちはこの布陣ではどこに誰がいて、自分が動いたらどこがどう空くかという最も基本的なところから学びなおさないといけないだろう。

その後、ヤヌザイのサイドから何度か突破を試みるも、最後までは崩し切れず1-0のまま前半終了。
プレシーズンの大会では負けなしで優勝し、好調のように見えたユナイテッドだけど、やはり公式戦、プレミアリーグはぬるくない。
それを身に染みて思い知ったか、ファンハールはハーフタイム中に決断を下し、後半開始からは4バックに。ジョーンズは右SB、ヤングが左SBに入り、エルナンデスい代わって投入されたナニが左サイドで、4-4-1-1のような形。
ダメだと判断すればさっさと切って捨てる、その潔さもファンハールの特徴だ。W杯前も4-4-2で作ったチームをストロートマンの怪我で思い切って3-5-2に変えたし、その3-5-2もうまくいかなかったらあっさり4-3-3に変えてたし。

その決断はすぐに実を結ぶ。
後ろにひとり増えたことで守備の荷が降りたヤヌザイが右サイドで果敢にドリブルを仕掛け、52分ヤヌザイが奪ったCKをルーニーがオーバーヘッドキックをガツンとかまして1-1、ユナイテッドが同点に追いついた。

その後も有利に試合を進めるユナイテッド。
やっぱりやり慣れた4バックの方が選手たちものびのびプレー出来るのか、ボールが前半よりもスムーズに流れている。見ている側もこっちの方が落ち着く気がするのは気のせいでもないだろう。
64分には、エレーラに代えてフェライニ投入。プレシーズンでは一度もプレーせず、ファンハール自身もこれまでそっけない態度を見せていたフェライニを開幕戦のど本番でいきなり使ってくるんだから、名将ってやっぱなに考えてるか分かんない。

この交代を機に一気に逆転といきたいユナイテッドだったけど、72分、スウォンジーのモンテロのクロスをルートリッジがシュートミス、しかしこのこぼれ球にシグルドソンがしっかりつめてて落ち着いてゴール左隅に流し込み2-1、ユナイテッドは勝ち越し点を許してしまった。

イケイケムードから一転、窮地に陥るユナイテッド。
ただの偶然、あくまでも偶然なんだろうけどフェライニ投入を境に、というのが気になってしまう。なんか誰かさんの怨念でもフェライニのアフロに絡まってないか?
しかもリードしたスウォンジーに運動量が戻ってきた。交代枠も使い切り、打つ手が限られるファンハール。さあ、ここからどんなマジックを見せてくれるのか!?と思ったら、フェライニを前線に上げパワープレイに走ったからさあ困った。それはあんまり効果がないとザッケローニが教えてくれたよ、と極東の地から叫ぶのもなんだか虚しい。でも、裏を返せば今のユナイテッドには武器らしい武器はそれぐらいしかないということなんだろう。

ということで。
1-2でユナイテッドは開幕戦黒星。プレシーズンとプレミアリーグは別物です、とオールドトラッフォードにキツイ洗礼をもらってファンハールの初陣は終了した。
注目された3バックはあまり機能せずに終わった。プレミアリーグに3-5-2は適しているのか。白か黒かハッキリつけれる問題じゃないし、身も蓋もない言い方をすれば「使い方による」んだろうけど、この試合を観てて感じたのは「3バックの優位性は相手が同等、もしくは格上の時に発揮されるんじゃないか」ということ。
3バックとは名ばかりの5バックで守り、中央にも人数を固めて奪ったら素早いカウンター。W杯で炸裂しまくったこの守備的な使い方でこそ、4バック全盛の今、3バックが輝くんであって、普通に中小クラブ相手に攻撃的なスタイルで3バックを使おうとすると、カウンターのリスクは高まるし、選手同士の距離感やパスコースの長さなどなど、4バックとの勝手の違いからミスがポロポロと出て、そこを付け入られそう。中小クラブは相手のミスを今か今かと待つ戦い方が基本だし。で、先制されて、その後はガッチガチの守備ブロックを作られるなんて展開は、想像するだけで寒気がする。

もちろん、ファンハールだってそんなリスクは承知しているだろうし、変に固執する人でもなさそうだから、あまり心配はしていない。それにそんな考えを超越するような画期的な戦い方を見せてくれるんじゃないかという期待もしている。
2トップの下にトップ下を置くのは、ある意味男のロマンだ。今や絶滅の危機に瀕したこの古き良きトライアングルに再び脚光を浴びせたファンハールには感謝の思いすらある。
自分の中で真っ先に思い浮かぶのは、ユーベのピッポデルピエロジダン。彼らの前には敵なぞなかった。他にもビアホフ、ウェア、ボバンとか、日韓の時のロナウドロナウジーニョリバウドの3Rとか、この三角形には夢や希望が詰まってる。マンチェスターの地を爆心地としてもう一度ブームの火が世界中に燃え広がらないだろうかと夢想をしている男が大阪にひとり。

話が大分横に逸れてしまった。
ほろ苦い思い出となってしまったファンハールオールドトラフォードデビュー。しかし、言い訳したいことはいっぱいあるはず。2失点目は運もなかったし、人も相当数欠けていた。ペルシ、キャリックはもちろん、新加入のショウにウェルベックバレンシアなどなど。
それどころかこの敗戦を利用だってするかもしれない。
やっぱり人が足りてないんだ、と。SBもCBも出来る人が1人か2人、そしてやはりもうひとりワールドクラスがいるだろう、と。
これは試合をみてても痛感したところ。マタが値段通りの活躍を見せてくれてればいいんだろうけど、今の所は3700万ポンドの匂いはいくらかいでもしてこない。それになにより個人技で崩せる選手。ヤヌザイは試合でその片鱗を見せてくれたけど、まだまだ発展途上だ。ナニなんて論外。ユナイテッドの最終目標を優勝に置くのならば、決定的に欠けているピースはこれ。ディマリア獲れれば夢みたいだけど、値段も実現性も未知数だし、こだわらずにいろんな可能性を探って移籍市場締め切りまでにド級ウルトラCを見せてくれる日がくるのをただただ祈るばかり。

個人的にはフレッチがフル出場してくれたのが何より。ファンハールを信頼している一番の根拠もここだったりする。万が一ファンハールがこけても、またCL出場権を逃しても、この柱さえしっかりしてくれればユナイテッドはくたばらない。ギグスがアシスタントコーチを務めてるし、まだまだそこかしこに御大の痕跡は残ってる。それらがある限り、ユナイテッドは絶対に復活するはずだ。

 

 

日本語バンザイ:十把一絡げ

 

「正直しんどい」 2014 J1 第13節 セレッソ大阪vsベガルタ仙台

セレッソvs仙台録画観戦。セレッソのスタメンはGKジンヒョン、CBは山下が出場停止でゴイコと康太、SBは俺の酒本と丸橋の鉄板コンビ。ボランチは蛍と扇原、右サイドは久々のアーリアで左は拓実。2トップはもちろん我らが柿谷と6億円のディエゴ・フォルラン

ということは山東戦から続いた3-4-2-1はひとまず終了し、開幕戦から使い続けていた4-4-2に回帰。名古屋戦ではこのシステムの答えが見つかった気がしたけど、広州戦の大敗で自信を失ったか、それとももっと明確な意図があって戻したのか、試合を観てみなくちゃあ分からない。

4-4-2、しかも右にアーリアなんていい思い出は微塵もないけど、健勇が脱臼でいないのだから仕方ない。メンバーもおなじみのメンツ。30日の間に10試合もこなそうというのに、いつまで経っても楠神やミッチ、永井にスタメンの出番はやってこず、決まった選手が長時間のプレーを強いられてる。

試合はもちろんセレッソがボールを回して主導権を握る。握るんだけど、アタッキングサードでも攻撃がうまくいかずチャンスらしいチャンスが少ないのがポポ4-4-2の特徴。が、この日は特にひどかった。縦パスが長過ぎたり短過ぎたり、足元にボールが欲しいのにスペースに出したり、その逆も然り。

なんかパッと見、下手くそな人たちがサッカーをしているような、そう思えるぐらい息が合ってなかった。でも、フォルランをはじめセレッソの選手が下手くそなわけがない。ならなぜこんなにプレー精度が低いのかと考えたら、やはり思い当たるのはACLを中心とした過密日程だ。

Jリーグ開幕前から韓国でシーズンが始まり、ナビスコのように手は抜けず毎試合が決勝のようなACL、しかも長距離移動のオマケ付き。それでも厳しいGLを勝ち抜き気合十分臨んだ決勝Tでまさかの大敗、1-5。その間もJリーグは待ってくれず、GWを利用してミッドウィークに試合を組まれる。

ACLの日程を考慮してこの試合も開催時間の変更があったけど15時が16時になっただけ。まだお日様は十分高い。選手たちは汗だくだ。ただ、そんなの広島や川崎だっておんなじ。じゃあなぜセレッソだけもろに影響が出ているかというと、やはりポポがうまく戦えていないだけ、とそういうことになる。

ACLが過密日程だなんてことは始まる前から分かってる。だからセレッソはそれに備え、シーズン前からフォルランをはじめ長谷川、染谷、ミッチなど積極的な補強に努めた。その努力が実を結び、Jリーグ屈指の選手層を手に入れた。はずなのに、一向に有効活用される気配が見られない。

常に柿谷、フォルラン、蛍、長谷川らがスタメンで、楠神、ミッチ、永井はベンチ。途中交代もほとんどが後半30分以降。交代枠を使い切らないこともままある。「勝つために必要な選手だから」その言い分を認めはしても、コンディションを落とすハメになり、結果がついてこないのなら本末転倒だ。

試合はたまにフォルランの個人技で「おぉ」と思わせるチャンスがあるだけで、それもゴールには繋がらずスコアレスで折り返し。後半からはさらに疲労が顕著に表れ、何をやってもうまくいかず、フォルランが激昂する場面もチラホラ。開幕したての頃はよく見られたけど、最近はめっきり減っていたのに。

62分に南野に代えて楠神、73分にアーリアに代えてミッチを投入するものの効果は薄く。彼らだってコンディション管理不調の被害者だ。ろくにプレー時間を与えられていないのに、ただでさえ連携がうまくいってないチームに放り込まれてもできることは少ない。

それでもジンヒョン、康太ら守備陣が頑張ってくれたおかげで0-0のまま試合を進めることは出来たのだけど、83分カウンターからヨンギにジンヒョンの股を抜くシュートを決められて0-1。その2分後には柿谷もお役御免。反射的に反論したくはなるがこの日の出来を冷静に評価すればそれもやむなし。

しかし、昨季21点を取りチームを3位に導いたゴールゲッターが退いてなにか代わりとなる策があるわけはなく、結局そのまま試合は終了。セレッソは今季4敗目を喫してしまった。

ということで。 正直、この日ばかりは選手をみていて不憫な気持ちになった。コンディションがこんなに悪いことを嘆くのではなく、コンディションがこんなになるまでほったらかされたその環境のことを嘆くべきだろう。ポポの戦術的な手腕はさておき、選手の体調管理の拙さは絶望的なものがある。

これほどまで不出来な我がとこのチームのプレーをみて、さぁポポは3日後のアウェイの広州戦でどのような戦い方を見せるのか。そのさらに3日後には浦和との対戦も控えている。

どちらの試合もベストメンバーで臨む。それも確かにプロの選択肢なのかもしれないが、果たして今のメンバーが本当にベストメンバーと言えるのか。この試合を観てさぞ疑念を抱いたに違いない。柿谷や蛍、フォルランを日本に置いておくのも手。それもまたプロの判断だし、1-5は諦めてもいいスコアだ。

これまでJリーグ12試合を消化して綺麗に4勝4分4敗。ちなみにACLのGLでも2勝2分2敗だ。これまで6勝しているわけだけど、4勝がアウェイ。すなわちホームではまだ2勝しかしていない。そして6敗中4敗がホーム。ホームサポーターにちと手厳しい監督ランコ・ポポヴィッチ

今回の敗戦でするすると自分の首に手がかかりはじめているのを感じたかもしれない。そしてそれは気のせいでもないはずだ。これまでの失敗はACLをなめていたから。ACLが終わった中断明けからはセレッソは上り調子に。そんな未来が待ってる可能性は多いにあると思うし、あってほしいと願うけど。

でも、同時に最悪の未来も垣間見えてしまった、そんな気がした90分。降格圏甲府との勝ち点差はわずかに3だ。

「リーガはそんなに甘くない」 2013-14 リーガ・エスパニョーラ第34節(延期分) バジャドリvsマドリ

バジャドリvsマドリ録画観戦。バジャドリのスタメンを眺めてると知らない名前がずらりと並んでてプチ浦島状態に陥るんだけど、ジェフレンとかバリエンテとかバルセロニスタとしては懐かしい名前もちらほら並んでてホッとしたりもする。マドリを下せば最高の恩返し。気持ちを入れて戦ってほしい。

マドリはカシージャスがリーガ427日ぶりのスタメン。CL決勝をにらんで試合感をつけさせとこうというアンチェロッティの判断。ベイルが体調不良で帯同すらせず代わりにディマリア。中盤はチャビ・アロンソ、イスコ、モドリッチの逆三角形。優勝がかかったはずの一戦だけど、少し悠長な気がしたり。

ゲーム早々、マドリにトラブル。ロナウドが筋肉系のトラブルとみられる故障で8分に途中交代。優勝するには勝利が重要な時にベイルとロナウド、左右の超破壊力ウイングを欠いて臨むことに。代わってモラタが入りベンゼマと2トップ、左にイスコが流れて4-4-2の形に。

マドリは明らかにコンディション管理に失敗していて全体的に動きが重い。プレスもかからないし、攻撃参加も遅いし少ない。バジャドリもしっかり引いて守って戦うから、どうしても散発的な攻めに。こういうときでもいつもはロナウドが個人技でなんとかしてくれるんだろうけど、残念ながら怪我で不在。

リーガ優勝がかかった大一番なだけにもうちょっと準備してくるかな、と思ってたんだけど、体が言うこときいてくれないのかな。ということで、ゴールの匂いがするプレーはバジャドリの方に多い。鈍いマドリディフェンスを地力で押しこみ正攻法でサイドを攻略してクロスでチャンスを作る。

ボールは保持するものの決定機が作れないマドリだったけど、31分少ないチャンスをものにする。FKの場面、ロナウドはおらずキッカーはラモス。思いきる右足を振り抜き威力抜群、落ちながらバジャドリゴールへ向かったボールはGKの手を弾きネットに吸い込まれた。1-0。

ホントにラモスはとてつもない選手になった。精神的実力的にマドリの疑い様もない主柱。イエロ、ラウル、カシージャスと続いたマドリディスモの体現者。イケルが冷遇されて系譜が途切れる危惧もあったけど杞憂だったよう。狙わなくても生まれてくるようになってるんだろうな、マドリというクラブには。

その後は一進一退の攻防が続く。この1点でマドリが持ち直すかとも思ったけど、相変わらず体は重い。後半に入っても流れは変わらずバジャドリ相手にサイドを攻め込まれる展開が続く。攻撃の場面でも、少ない人数でエリア前でこちょこちょはするんだけど、ベンゼマ、モラタに決定的な働きはない。

両者、決定力を欠いたまま時間はずるずると過ぎて行き、マドリが逃げ切るかと思われた後半41分、CKを途中交代のオソリオがヘディングで押し込み、1-1。マドリ相手でも臆さず前半からキッチリ攻撃を仕掛け続けた努力がここで実を結んだ。

マドリは試合を決めきれずグズグズ引っ張り続けたツケがここに。冴えないイスコ、ベンゼマに代えてイジャラメンディ、マルセロを投入しても効果は薄く。ただ、それにしたって大きすぎるツケとなってしまったが。そもそもマドリはこの日何をしにホセ・ソリージャにやってきたのか。

自力優勝をモノにすべく死力を振り絞ってバジャドリを叩き潰しにきたのではなかったか。しかし、マドリからそんな背水感は微塵も感じられず。ベイルはマドリで待機。いつものように下位のクラブをサクッと倒して勝ち点3をいただきましょうか、と。そういう緩慢な姿勢しか感じられなかった。

残り4分で急に目を覚まされたマドリは必死にバジャドリゴールに襲いかかるも時すでに遅し。1-1で試合終了。マドリの自力優勝は儚く消え去った。でも誰がどう見たって自業自得。もうマドリの照準はデシマにしぼられてるんだろう。その優先順位が正しいか、またソシオが納得してくれるかは別にして。

一方、歓喜に沸き返るのはアトレティコバルセロナ自力優勝を握る唯一のクラブが自らその手を離してくれた。あとは次の試合で結果を残すだけ。週末、アトレティコはマラガに、バルサはエルチェに勝利すれば、最終節カンプノウでの天王山に勝利した方が王者となる。

数十年に一度あるかないかの最高の条件、最高の舞台で歴史に残る一戦が見れますよう、バルサがエルチェ相手にまさかの結末を引き起こさないようただただ祈るばかり。でも今のバルサならありそうな気がして怖いんだよなぁ。

「ガンバというライバル」 2014 J1 第12節 ガンバ大阪vs徳島ヴォルティス

ガンバvs徳島録画観戦。ガンバは宇佐美が今季初スタメン。宇佐美が怪我から復帰したことで、もう遠藤がFWでプレーする姿を観なくて済むというのはそれだけで幸せなことだろう。ボランチは今野と遠藤。右に大森、左に二川。中盤の3人が30オーバー、おなじみのメンツというガンバらしい布陣。

徳島はスタメンを大幅入れ替え。主力として活躍していたFWの高崎と左MFの大崎はベンチにも名前が見当たらない。前線はドグラスとダーツーこと津田のおなじみ2トップ。Wボランチハマタケと斎藤から小島、窪田に変わり、右に花井、左に衛藤。SBは左に李、右に小暮。バックスは藤原と橋内だ。

仙台戦に比べれば特に中盤に若い選手が多くて、見たかった徳島はこっちの方なんだけど、ガンバ相手に昨今結果に結びつつあったメンツをガラリと代えてくるとは小林さんもなかなか思い切ったことをする。甲府戦で初勝利の原動力となった3バックも踏襲しないし。

試合は、もちろんガンバがボールを繋ぎながら攻め、徳島は守りを固めて待ち受けるという、想像通りの戦い。ただ、徳島はドン引きして守備ブロックを作るのではなく、守備ラインを設定して中盤と連携しながらボールを奪おうとしていた。

ガンバ相手に好きなようにシュートを撃たせて弾き続けようとしたんでは、たとえ今季ビッグセーブを連発してる長谷川でも、90分はとても持たないと判断したんだろう。

さすがにもうJ1の場で守り慣れてきたのか、徳島の守備の集中力はなかなか高く、パス交換で中央突破を狙ってくるガンバをなんとか弾き返し、シュートまで持って行かれても守護神・長谷川様の好セーブで難を逃れるシーンが続いた。

あとはカウンターでゴールを奪うだけだけど、当然簡単にはいかない。ボランチ小島のパスから衛藤の飛び出しという関係で実はチャンスは少なくないけど、それでも2トップが決めきれない。これまでは高崎のポストプレーで中盤の攻撃参加を引き出して良い形を作れてたけど、なぜか彼はここにはいない。

それでもまぁ90分の間でなんとか1点を取れれば、という戦い方だからある程度は仕方ない。だから勝ち点3を取るためには守り切らなきゃいんだけど、やはりガンバは甘くはなかった。37分、左サイドを二川、今野、藤春のパス交換から崩されて、グラウンダーの折り返しを宇佐美が流し込んで1-0。

この得点シーン以外でもパス交換から藤春に縦に抜かれてピンチを招くシーンはままあった。ドン引きして守備ブロックを作るんじゃなく、ラインを設定して守ろうという意図は理解できるけど、そうするとこういう崩しに対処出来ないジレンマ。あいにくガンバには裏を通すパスが出せる選手がたくさんいる。

後半からは右SBの小暮に代えて左SBのアレックスを投入、李が右へ。確かに右サイドはやられていたけど、小暮に責任を背負わすのは少し酷。でも手を打つのはここしかないか、という采配。

ガンバが後半に入り少し攻撃の手をゆるめ、徳島がボールをキープして攻め込む場面もみられるように。ガンバの守備もそう褒められたものじゃなく、ドグラスのポストから得点の匂いもしはじめた。

61分にはCKから橋内のヘディングがドンピシャで決まり、ゴールか!というシーンもあったけど、東口のビッグセーブにあい無念。ツキもない徳島ヴォルティス。このピンチで肝を冷やしたガンバはボールを持たすんじゃなく、持つことで時間をつぶすように。これで徳島の勝ち目がグッと減った。

徳島はダーツーに代えて佐々木、右MFの花井に代えて長身FWのジョンミンを投入。佐々木が右に回り、ジョンミン、ドグラスの高さを生かす作戦に。しかし、これを上手くいかすことは出来ず。

逆にガンバはリンスに代わって入った倉田が左サイドでドリブルで勝負を仕掛け流れを呼び戻す活躍。そして75分、大森に代わり投入された阿部が右サイドのスローインから抜け出してゴールを決めてジ・エンド。ロスタイムには倉田が個人技で追加点を奪い、終わってみれば3-0。

カードの切り方でもガンバとの差を見せつけられた徳島。これが上位争いしているチームではなく残留争いのライバルというんだから絶望的だ。試合後、もっと前線の高い選手に当ててセカンドボールを拾う厚い攻撃を仕掛けたかったと悔やんだ小林さん。

実際、徳島の一番のストロングポイントはそこだと思う。ドグラス、ジョンミン、今日はいなかったが高崎という選手もいる。でも、じゃあ前線に精度の高いボールを供給出来るのは誰なのか、セカンドボールを上手く拾えるのは誰なのか、それを今探している段階だ。

今日もチャンスがないではなかった。そこを上手く決め、守備が集中して守り切り、長谷川がビッグセーブを連発してはじめて甲府戦のような に勝ち点がゲットできる。徳島ってそんなチームなんだな、と再認識させられた試合。効率良く得点出来る形が早く見つかればなぁ。それだけが唯一の希望。